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STORY

◉ 800年の時を超える祈りの物語

《祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす》

平安末期。平家一門は、権力・武力・財力あらゆる面で
栄華を極めようとしていた。
亡者が見える目を持つ男・平重盛は、
未来が見える目を持つ琵琶法師の少女・びわに出会い、
「お前たちはじき滅びる」と予言される。

貴族社会から武家社会へ――
日本が歴史的転換を果たす、激動の15年が幕を開ける。

解説コラム

はじめに 「平家物語」の時代 佐多芳彦(TVアニメ「平家物語」歴史監修)

平安時代。朝廷と貴族社会が織りなす雅と贅の極みのような時代です。

「平家物語」は平安時代の最末期の物語です。天皇を頂に置く朝廷貴族社会の繁栄にも陰りが見え始めたころ、天皇の父親である上皇が院政を開き、政治は混迷を深めます。そこに、武力を糧にあらわれたのが平氏や源氏などの武士でした。

この作品ではそんな武士の一流である平家の栄枯と盛衰を、情趣豊かに描きます。

また、この作品ほど、人々の衣服や建築をはじめとする当時の風俗を正確に再現した映像作品はほかにはないのではないでしょうか。みなさんがテレビやモニターで目にする映像は、当時の平家の人々が目にしていたものとあまりかわりません。物語と映像と、まだ、誰も見たことのない精緻な平安時代を楽しんで感じていただけると確信しています。

今後、このコーナーでは、作品を楽しむ上で参考になるようなトピックをわかりやすくご紹介します。

第一話 ◉ 平家にあらざれば人にあらず

平安末期の京都。平家一門は、権力・武力・財力、あらゆる面で栄華を極めようとしていた。
天皇をもしのぐ勢いで野心を募らせる父・平清盛を危うく感じる長男の重盛はある夜、邸内で琵琶法師の少女・びわと出会い、平家の滅亡を予言される。
重盛とびわには、ともに見えないものが見える「目」を持つという共通点があった。

解説コラム

太政大臣

平清盛は、伊勢平氏を率いる武家の棟梁として、天皇と上皇、貴族・藤原氏の仲間割れ、源氏とのあらそいに巻き込まれつつも最終的に勝ち残り、朝廷での権力を得ていきました。そして、武士としては日本史上初めて、1167年、朝廷の最高の官職・太政大臣(だいじょうだいじん)になりました。太政大臣の官職は、本来、貴族社会の藤原氏などが独占していたのですが、清盛はこの座につくことで朝廷・貴族社会の頂点に君臨することとなります。

しかし、清盛はこの太政大臣をわずか三か月でやめてしまいます。清盛は太政大臣になったという事実だけが大切で、その3か月で平氏の人々が朝廷の高官になれるよう後押しをし、一方で日宋貿易の拠点として大輪田泊(現兵庫県・現神戸港西側)の大改修に心血を注ぎました。

平氏が権力を得るまでの武士は朝廷・貴族らの「番犬」として、戦争の道具として、低い立場として扱われていたのが、清盛によって完全にひっくり返されました。日本の支配者が朝廷や貴族から武士に代わる古代から中世への大転換がはじまったのです。本作品は、こうして清盛が平家と自らが得た栄華の頂点から紐解かれます。

太政大臣になったとき、きっと清盛は一族の前で言ったとおもいます。「おもしろかろう?」と。おそらくは太政大臣をやめたときも。

第二話 ◉ 娑婆の栄華は夢のゆめ

資盛が天皇の摂政に無礼を働いて制裁を受け、それに清盛が報復したことで、平家に対する批判が噴出する。
重盛は資盛を伊勢に謹慎させ、自身も職を辞することで少しでも批判を治めようとするが、それがおもしろくない清盛。
そんな中、徳子が後白河法皇の息子・高倉天皇に入内することが決まる。

解説コラム

白拍子

白拍子は、平安時代末期から鎌倉時代にかけて流行した歌と舞のことで、これを演じた人々の呼び名です。もともと白拍子は男性が踊る舞であったので、女性が男装をして舞い、仏や神と人のかかわりや縁を歌いました。白拍子が生まれたのは「平家物語」の舞台となった時代より少し前の事といわれていますから、清盛のころはそれこそ最先端のエンターテインメントで、都で名をあげるものも少なくなかったようです。人々の集まる場所で、神社の神楽のようなにぎやかな伴奏で歌舞を披露し、人々と交流し、大変な人気を得ていました。

そんな白拍子を時の権力者たちが見過ごすわけはありません。朝廷や院、貴族たちはこぞって白拍子を自らの邸宅に招き、その歌舞を披露させました。この物語の第一話に出ていた祇王もそんな一人でした。一足早く清盛の寵愛をうけていた祇王・祇女によっていざなわれ、清盛の前で当時の流行歌であった今様を歌い、さらにその場の機転でアドリブの今様を歌い、アドリブの舞を披露し、清盛にたいそう気に入られ寵愛されることとなりました。

祇王・祇女や仏御前は平清盛という後ろ盾を得たものの、自由な上演や人々と接する機会が減り、もしかすると自由な創作の心を失っていった、心の自由を失ってしまったのかもしれません。

第三話 ◉ 鹿ケ谷の陰謀

維盛・資盛・清経らとともに、厳島神社に赴くびわ。
入内して6年になるが子を授かる気配のない徳子のために、一行は厳島神社に祈願の舞を捧げる。
一方、重盛は藤原氏と延暦寺のいさかい、これをもてあます後白河法皇に頭を悩ませていた。
さらにその裏では、源氏の力を借りて平家を討つ密議が交わされようとしていた。

解説コラム

厳島神社

厳島神社は広島湾の厳島(宮島)にある神社です。日本三景の一つ、「安芸の宮島」とはこの厳島のことです。平清盛をはじめとする平氏の人々はこの神社に篤く信仰をよせていました。海に立つ大鳥居の風景といえば、「ああ、あそこか」と思うでしょう。潮の満ち引きにより変わる風景の中に鎮座する厳島神社の赤く塗られた社殿は青い海に映えます。本作品でも維盛らの少年時代、びわとともに干潮で海の引いた大鳥居のあたりで遊ぶ姿が描かれていますよね。またストーリーの重要な節目ではかならず平家の人々とこの神社が描かれます。

清盛らの信仰は大変なもので、神主の佐伯景弘を援助し、1168年に社殿の大改築をおこないました。現在の社殿は1571年に戦国大名の毛利氏が造営したものです。本作品に描かれる社殿は鎌倉時代末期の国宝「一遍聖絵」に描かれたものを用いており、現在とは異なるものです。また、この神社には清盛が奉納した「平家納経」や工芸品、武具・甲冑などが大切にまもられ現在に伝えられています。そうしたもののなかの甲冑なども本作品の随所に出てくる武士たちの甲冑のモデルになっていたりもするのです。

清盛や平家の人々はこの神社を訪れ、何を想い、どんな願いをかけたのでしょうね。